2008年3月、人気絶頂にあった『ズバリ言うわよ!』と『幸せって何だっけ』は、示し合わせたかのように同月で相次いで幕を下ろしました。番組終了がアナウンスされた際、細木氏本人は「本業である六星占術の執筆活動や後継者育成に専念するための充電期間に入る」「自分自身の運気(大殺界など)を見据えた決断」と説明し、表向きは円満な降板劇として処理されました。
しかし、当時の水面下では複数の危機が同時多発的に進行していました。テレビ降板の真相は、単一の理由ではなく、以下の3つの圧力が臨界点に達した結果だったと当時の放送業界関係者は指摘しています。
第1に、週刊誌を中心とした徹底的な追及報道と裁判闘争です。『週刊現代』などを中心に、細木氏の過去の経歴、暴力団関係者との親密な人脈、そして霊感商法に近い高額な墓石販売や法外な鑑定料の実態を告発する長期キャンペーンが展開されました。細木氏側は名誉毀損で提訴したものの、法廷闘争の泥沼化は「お茶の間のご意見番」としてのクリーンなイメージに決定的なダメージを与えました。
第2に、BPO(放送倫理・番組向上機構)への苦情急増とコンプライアンスの厳罰化です。相談者に対して「あんた死ぬわよ」「先祖の供養が足りないから病気になる」といった恐怖心を煽る言動に対し、視聴者や識者から「オカルトによる脅迫」「公共の電波を使った人格否定」との批判が殺到。テレビ界全体がコンプライアンス強化へと舵を切る中、彼女の芸風そのものが放送倫理上の爆弾とみなされるようになりました。
第3に、スポンサー企業の降板ドミノと制作費問題です。週刊誌の追及とBPOの動向を危険視したナショナルクライアントが、番組提供クレジットの自粛や撤退を打診し始めました。折しも2008年はリーマンショックへと向かう景気減速期であり、1本数百万円という超高額ギャラを維持しながらのリスク管理が、テレビ局経営の観点から困難になっていたのです。