「自分には一生縁がない世界」と思われがちなファーストクラスですが、一般の旅行者が現実的に搭乗するためのルートも存在します。その代表例がマイルを活用した手法です。
ファーストクラスのマイル特典航空券の予約は、欧米往復でおよそ12万〜16万マイル前後(提携航空会社や提携プログラムの利用により変動)で発券可能です。これはクレジットカード決済やポイ活を年間計画で徹底すれば、一般の会社員でも十分に狙えるマイル数といえます。しかし、2026年現在の現実は「マイルを貯めること」よりも「空席を確保すること」のほうが圧倒的に困難です。各社が個室化を推し進めた結果、機内全体のファーストクラス席数が旧世代機の8〜12席から6席前後へと激減しており、特典航空券に開放される枠は1便につきわずか1〜2席、路線によってはゼロという熾烈な争奪戦が繰り広げられています。予約開始日(搭乗の355日〜360日前)の受付開始と同時に枠を押さえる迅速さが不可欠です。
もうひとつの疑問であるファーストクラスへのアップグレード条件についてはどうでしょうか。ネット上では「エコノミーからいきなりファーストに無償アップグレード(インボラ)された」といった都市伝説が散見されますが、航空運行の現場においてエコノミーからファーストへの飛び級アップグレードは原則としてあり得ません。ビジネスクラスを購入している乗客であっても、アップグレードの権利を行使できるのは「予約クラスの高い普通運賃に近いチケット」を保有し、かつ各社の上級会員ステータス(JALダイヤモンドやANAダイヤモンドなど最上位層)を維持している顧客に厳しく制限されています。また、近年はチェックイン時に空席がある場合のみ有償でアップグレードを募る「入札制(オークション形式)」を導入する海外キャリアも増えており、かつてのような偶発的な幸運を期待するのは極めて難しくなっています。
なお、手軽に最上位のサービスを体験してみたい場合は、ファーストクラスの国内線と国際線の違いに注目するのが賢明です。JAL国内線ファーストクラスは、普通運賃や株主優待運賃に数千円〜1万円台の追加料金を支払うだけで利用可能です。飛行時間は1〜2時間程度と短いものの、専用チェックインカウンター、最上位のダイヤモンド・プレミアラウンジの利用、機内での温かい銘店監修の御膳と日本酒・シャンパーニュのフリーフローなど、国際線のエッセンスを凝縮した贅沢を極めて手軽に味わうことができます。