英明高校野球部が「なぜ強いのか」という問いに対し、現場を取材する記者や高校野球関係者が口を揃えて指摘するのが、徹底した状況判断力と機動力野球の浸透です。高校野球界では強豪私立といえば全国から有望中学生をスカウトし、恵まれた体格から放たれる長打力でねじ伏せるスタイルが連想されがちですが、英明の野球はその対極に位置します。
1点をもぎ取るためのセーフティバント、相手バッテリーのわずかな隙を突くディレードスチール、外野手の捕球体勢を見極めた果敢な次の塁への進塁など、相手守備陣にプレッシャーを与え続ける戦術がDNAとして根付いています。この緻密な野球を短期間で構築したのが、かつて丸亀城西高校を率いて甲子園出場を果たし、2005年の英明創部とともに初代監督へ就任した名将・香川智彦氏でした。
香川前監督は「体格や球速で劣っていても、頭脳と走力、そして1球への執着心があれば全国の強豪に勝てる」という信念のもと、選手個々の思考力を極限まで鍛え上げました。練習ではサインプレーの反復にとどまらず、実戦形式のケース打撃において選手自らに守備隊形やカウントに応じた最適解を選択させる指導を敢行。この徹底した自主的判断力の養成こそが、大舞台で番狂わせを演じ続ける英明の原動力となっています。
現在、監督のバトンは後進の指導陣へと引き継がれ、香川智彦氏の指導哲学を継承した現在の指導体制のもとで、データ分析や最新のコンディショニング理論を融合させたハイブリッドな育成が進められています。監督と選手が密にコミュニケーションを取り、伝統の機動力に現代的なスピード感を加えた野球が確立されています。