相撲部屋の経営基盤を根底から揺るがしているもう一つの要因が、深刻な「新弟子不足」です。少子化の加速に加え、過酷な稽古環境や上下関係を嫌う若者の価値観の変化により、全国の中学・高校・大学相撲部からの入門希望者は減少の一途をたどっています。新弟子を獲得できなければ、力士養成費の総額が目減りするだけでなく、稽古相手が不足して力士が育たず、部屋のブランド力が低下するという負のスパイラルに陥ります。
日本相撲協会が定める相撲部屋の独立条件(原則として関取在位年数や幕内通算勝ち星などの実績基準)をクリアして念願の分家独立を果たしても、弟子が集まらなければ数年で立ち行かなくなります。近年、師匠の定年や急逝、健康問題を機に後継者が見つからず、相撲部屋の合併・統合や実質的な閉鎖に追い込まれる事例が相次いでいる背景には、こうした構造的な経営難と人材枯渇が密接に絡み合っています。