「名古屋ではコーヒー1杯でパンやおかずが食べ放題になる」という噂がSNS等で拡散されることがありますが、飲食ビジネスの収益構造から見て、無条件の無料食べ放題が成立するはずはありません。ここには巧みな業態設計と経営努力が存在します。
実際に名古屋モーニング食べ放題を実施している店舗の多くは、ベーカリー直営店やバイキング専門カフェです。これらは「ドリンク代+0円」ではなく、「ドリンク代+パンビュッフェ料金(数百円)」というセット形式、あるいはモーニングビュッフェ専用の固定料金制(1,000円前後)を採用しています。前日焼き上げたパンのロス削減や、朝の時間帯に厨房設備を効率稼働させるサプライチェーン管理によって、驚異的なコストパフォーマンスを実現しているのが実態です。
また、個人経営店が提供する「ドリンク代のみでトースト・卵が付く」無料モーニングについても、行動経済学におけるアンカリング効果と「昼・夜の客数確保」という明確な計算が働いています。朝の利益を極限まで削って来店ハードルを下げ、店内の居心地を気に入った顧客が、利益率の高いランチタイムや午後のデザートタイム(自家製ケーキや定食)に再訪する構造を築いているのです。決して投げ売りではなく、地域密着型のLTV(顧客生涯価値)を最大化させるための緻密な集客投資であると言えます。