首位攻防戦が迎えた最大の山場は、1点ビハインドで迎えた9回裏2死一・二塁の緊迫した場面でした。球場のボルテージが最高潮に達する中、打席に入った主砲に対するバッテリーの攻防には、緻密極まる神経戦が隠されていました。
テレビ中継のハイライト動画でも繰り返し再生されている問題の1球は、カウント2-2から投じられた外角低めへの高速フォークボールでした。捕手のミットは完全に低めのボールゾーンに構えられていたものの、連投疲労の残る守護神の指先から離れたボールは、わずかボール半個分だけ高めに浮いてしまいます。
報道陣の囲み取材に応じた打者は、「相手バッテリーが直前のインコース直球で見せ球を作ってきた段階で、決め球は低めの変化球に絞っていた。甘く入った瞬間、体が勝手に反応した」と試合後に激白しています。打球初速168km/hで右中間フェンスを直撃した白球は、走者2人を次々と本塁へと迎え入れ、劇的な逆転サヨナラ勝ちを呼び込みました。
公式のホームラン速報に記録された一発こそ出なかったものの、この1本のツーベースヒットが持つ重みは、シーズンの行方を決定づける破壊力を秘めていました。まさに、百戦錬磨のクローザーであっても逃れられない「一瞬の制球の狂い」がもたらした冷酷なドラマでした。