割れ鍋に綴じ蓋は褒め言葉?失礼にあたる理由と正しい使い方を徹底解剖

割れ鍋に綴じ蓋は褒め言葉?失礼にあたる理由と正しい使い方を徹底解剖

割れ鍋に綴じ蓋は褒め言葉?失礼にあたる理由と正しい使い方を徹底解剖の具体的な内容に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

辞書や国語辞典を紐解くと、「割れ鍋」のほかに破れ鍋に綴じ蓋(われなべにとじぶた)という表記も広く定着しています。どちらも同一の意味を持ちますが、歴史的な典籍や近世の上方いろはかるた等では「破れ鍋」の表記が多く見られます。

この割れ鍋に綴じ蓋の由来は、江戸時代の庶民生活を支えたリペア職人文化に遡ります。当時、鉄や素焼きの鍋・釜は貴重品であり、ひびが入ったり割れたりしても簡単に破棄することはありませんでした。そこで登場したのが「鋳掛屋(いかけや)」と呼ばれる修理職人です。破損した鍋の亀裂に真鍮(しんちゅう)の鎹(かすがい)を打ち込んだり、針金で縫うように補強したりして修復しました。この針金や鎹でつなぎ合わせた補修済みの蓋を「綴じ蓋(とじぶた)」と呼びます。

新品の端正な丸い蓋は、ゆがんでひび割れた鍋には密着せず、蒸気が逃げてしまいます。しかし、同じように変形し、針金で綴じ合わされた蓋であれば、不思議なほど歪な縁(ふち)に隙間なくフィットします。この生活道具の観察から、「いかに癖が強く、世間から欠点持ちとみなされる人物であっても、その歪みにぴったり寄り添う相手が世の中には必ず存在する」という人間模様の縮図として、ことわざへと昇華していったのです。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。