世界幸福度報告書が近年詳細に分析している重要テーマの一つが、「世代別の幸福度格差」です。日本における世代別データを掘り下げると、極めて深刻な分断が露呈します。
60歳以上のシニア層に限定した幸福度ランキングでは、日本は世界30位台半ばから40位前後に位置し、比較的安定した満足度を示しています。年金制度や手厚い医療給付、持ち家率の高さに支えられ、一定の生活防衛が成立していることがその背景にあります。
対照的なのが、30歳未満の若年層のスコアです。日本の若年層の幸福度順位は世界70位台前半まで急降下します。この「シニア層と若年層の順位ギャップ」は先進国の中でも極めて異例の開きです。
若年層が強い閉塞感を抱く背景には、以下の3つの社会的要因が絡み合っています:
- 将来不安と社会保障負担の偏重:少子高齢化のツケが現役世代の社会保険料増大として直撃し、手取り収入が増えない構造的停滞感。
- レールから外れることへの恐怖:一度正規雇用のレールを外れると再チャレンジが困難な労働市場の硬直性と、強固な同調圧力。
- デジタルネイティブ特有の社会的比較:SNSを通じて可視化された「成功者」や「キラキラした生活」との絶え間ない比較による相対的剥奪感。
「真面目に働いても生活が豊かになる実感が持てない」という若者の心理が、「人生の自由度」の回答を著しく押し下げている直接的な要因となっています。