世間で囁かれる「コレステロールが高くても長生きできる」「基準値は製薬マネーで作られた罠」といった極端な言説は、一体どこから生まれたのでしょうか。発端の多くは、80歳以上の超高齢者を対象とした一部の疫学調査で「低栄養状態にある低コレステロール群よりも、ある程度数値が高い群の方が生存率が高かった」というデータが存在することにあります。
しかし、これは「フレイル(虚弱)や進行がんなどで極端に栄養状態が悪化した高齢者の死亡率が高かった」という交絡因子(逆の因果関係)が働いた結果です。働き盛りを含む一般的な成人にこの理屈をそのまま当てはめるのは、医学的に極めて危険な誤読と言わざるを得ません。
国内外の膨大な臨床研究において、LDLコレステロール値が高い状態が長期化するほど、血管壁に脂質が沈着して動脈硬化が進行することは揺るぎない事実として証明されています。「高くても大丈夫」という耳触りの良いフレーズを鵜呑みにして放置することは、将来の命を脅かすギャンブルに等しい行為です。