国内の酒類消費量が全体として微減傾向にある中、缶チューハイを中心とするRTD市場規模は右肩上がりの成長を続けています。2010年代初頭と比較すると市場規模は約2倍に達し、2026年現在もなお拡大基調を維持しています。この爆発的なヒットの背景には、消費者のライフスタイルの根本的な変化と明確な社会構造の変化が存在します。
最大の要因は、20代〜30代を中心とした「ビール離れ」の構造的定着です。「ビールの独特な苦味が苦手」「一杯目から乾杯はビールという同調圧力が煩わしい」という価値観の浸透に加え、食事のシーンを選ばない甘くないプレーンサワーや柑橘系RTDの台頭が、若年層のアルコール受容層を大きく広げました。
さらに、現代人の消費行動を象徴する「タイパ(タイムパフォーマンス)とコスパ(コストパフォーマンス)の追求」が見逃せません。仕事や趣味に忙しい生活者にとって、居酒屋で4,000円〜5,000円を支払う外食機会は「特別なイベント」へと位置づけが変わり、日常の晩酌は1本150円前後で手に入る高品質な缶製品で完結させるスタイルが定着しました。自宅で動画配信サービスを鑑賞しながら、手軽に気分の切り替えを行えるスマートさが、時代の気分と完璧に合致したといえます。