映画『蛇にピアス』がカルト的な支持を集め続ける大きな要因は、吉高由里子を取り巻く男性キャスト陣の圧倒的な存在感にあります。赤髪のモヒカンに全身ピアスと刺青を纏った青年・アマ役を演じた高良健吾と、暗黒街の匂いを漂わせるサディスティックな彫師・シバ役を演じたARATA(現・井浦新)。この3人のアンサンブルは、平成サブカルチャーの退廃的な空気を完璧にフィルムへ焼き付けました。
当時まだ20歳前後だった高良健吾は、暴力的でありながらルイに対してどこまでも純真で脆い愛を注ぐアマを怪演。喉元に走る痛々しいスプリットタンを武器に、吉高由里子と魂をぶつけ合うような演技を披露しました。一方、モデル出身のミステリアスな佇まいで異彩を放っていたARATAは、知性と狂気が同居するシバ役で底知れぬ色気を放ち、ルイを底なしの快楽と暴力の世界へと引きずり込んでいきます。
興味深いことに、吉高由里子と井浦新(ARATA)は、この作品を起点として深い信頼関係を築き上げました。後にドラマ『最愛』(TBS系)での運命的なバディ役や、大河ドラマ『光る君へ』における藤原道隆とまひろ(紫式部)としての共演に至るまで、二人がスクリーン上で見せる唯一無二の緊張感と親密さは、この『蛇にピアス』の過酷な現場で共有した「共犯関係」から始まっていたのです。