主要旅行予約サイト(じゃらんnet、一休.com、楽天トラベル)の宿泊者レビューや個人の宿泊記ブログを網羅的に分析すると、能登屋旅館の総合評価は4.6〜4.8点(5点満点)という驚異的な数値を維持しています。しかし、その高評価の内側には、歴史的建造物ならではの明確な賛否両論が存在します。
絶賛されるポイント:圧倒的な世界観、料理、そして名物「洞窟風呂」
宿泊者が口を揃えて賞賛するのは、「チェックインした瞬間に大正時代にタイムスリップしたかのような非日常感」です。夕刻、川沿いのガス灯に火が灯り、能登屋旅館の窓から漏れる飴色の明かりが雪に反射する光景は、カメラマンや旅行者の期待を裏切りません。
また、食事の満足度も際立っています。夕食には山形が誇る極上のブランド牛「尾花沢牛」のしゃぶしゃぶやステーキ、山菜や川魚、地元名物の鴨鍋など、土地の滋味を凝縮した会席料理が提供されます。「見た目の華やかさだけでなく、出汁の引き方から郷土料理の味付けまで一切の妥協がない」と料理への評価は極めて高水準です。
さらに、館内湯めぐりのハイライトとなるのが元湯を利用した「洞窟風呂」です。地下に掘り下げられた仄暗い空間に、創業当時から湧き出る源泉が掛け流されており、岩肌に囲まれた独特の秘湯感は他では味わえない没入感をもたらします。加えて、階段を登った先にある予約制の「展望露天風呂」からは、銀山温泉の山あいの四季折々の絶景を一望できます。
リアルな不満点と注意点:歴史的木造建築ゆえの制約
一方で、低評価や戸惑いの声として共通して挙げられるのが、現代的な高級ホテルとの設備のギャップです。本館においては以下のような点が指摘されています。
- 「木造建築のため、階上を歩く足音や隣室の襖を開閉する音がダイレクトに響く」
- 「エレベーターがなく、急勾配の階段をスーツケースを持って上り下りするのが大変だった」
- 「客室内に洗面所やトイレはあるものの、間取りがコンパクトで最新の機能性とは異なる」
これらは文化財としての原形を留めるための構造的制約であり、宿の不手際というよりは「木造文化財旅館の本質」と言えます。この特性をあらかじめ理解して宿泊しているか否かが、口コミの明暗を分けています。