ネット上のQ&A掲示板やSNSでは「蟹江から名駅なら急行のある近鉄一択」と短絡的に語られがちですが、実態を踏まえるとこの言説には大きな盲点が存在します。現場検証で見えてきた3つの罠を是正します。
第1の盲点は、「名駅構内での縦移動・横移動ロス」です。近鉄名古屋駅の改札口は地下に位置しており、JRゲートタワー、JPタワー名古屋、大名古屋ビルヂングといった名駅北東側・地上高層オフィス街へ向かう場合、地下街の人混みをかき分けて地上へ上がるまでに徒歩で5〜8分を要します。これに対し、JR関西本線は地上ホーム(11〜13番線)に到着するため、桜通口や中央改札への抜け道が一直線であり、オフィスビルのエレベーターホールまでの実質到達時間はJR利用の方が早いケースが珍しくありません。
第2の盲点は、「駅間距離1.3kmの居住地トラップ」です。近鉄蟹江駅とJR蟹江駅は直線距離で約1.3km離れています。自転車で移動すれば5〜6分ですが、徒歩では約17分。南側の城・本町エリアに住む人がJRを使おうとしたり、北側の須成・桜並木エリアに住む人が近鉄を使おうとすると、駅までのアクセスだけで電車乗車時間を上回るタイムロスが発生します。「駅自体のスペック」よりも「自宅からどちらの駅へフラットにアクセスできるか」が最優先されるべき物理的現実があります。
第3の盲点は、「自腹通勤・学生通学における定期代の格差」です。会社から通勤交通費が全額支給される会社員であれば近鉄のスピードを迷わず享受できますが、全額支給されない個人事業主、パート・アルバイト、あるいは交通費上限が設定されている企業の場合、年間約6万7,000円の定期代差額は生活費を直撃します。大学通学の学生にとっても、浮いた差額で年間何ができるかを考慮すると、JRの圧倒的な安さは「近鉄一択説」を覆す決定打となります。