この問題の本質を理解する上で不可欠なのが、業界用語である「直営業(ちょくえいぎょう)」と「闇営業(やみえいぎょう)」の概念の相違です。
「直営業」とは、所属事務所を介さずタレントが個人として直接クライアントから仕事を引き受け、報酬を受け取る行為を指します。これは所属事務所に対する契約上の背信行為(専属マネジメント条項違反)にはなり得るものの、相手が一般企業や個人である限り、法律上の違法行為(犯罪)ではありません。
一方で「闇営業」とは、反社会的勢力や半グレ集団など、違法活動を行う組織からの依頼を水面下で請け負う行為を指します。反社会的勢力への利益供与や資金循環への加担は、各自治体の暴力団排除条例に抵触する重大なリスクを孕んでおり、企業の社会的責任(CSR)およびコンプライアンスの観点から絶対に容認されない行為です。
吉本興業が下した契約解除や無期限謹慎という重い処分は、単なる社内ルール違反(直営業)への懲罰にとどまらず、反社会的勢力との接触および初期対応での虚偽申告による社会的信用の失墜に対する厳格な措置でした。