スクリーン上での華やかな姿とは裏腹に、当時の撮影現場は新人女優にとって過酷を極める環境でした。映画関係者や当時のメイキング特番で明かされたエピソードの中でも、特に語り草となっているのが「Lによる弥海砂の監禁・尋問シーン」です。
第二のキラとして疑いをかけられた海砂が、椅子に全身をガムテープやベルトで拘束され、目隠しをされた状態で長期間監禁されるこの場面。リアリティを徹底追求する演出プランのもと、戸田恵梨香さんは実際に視界を完全に遮断され、身動きが一切取れない状態で長時間の撮影に挑みました。恐怖と肉体的苦痛で極限状態に追い込まれながらも、役柄の持つ精神的錯乱を見事に表現しきった姿勢は、現場のベテランスタッフ陣を驚嘆させました。
また、主人公・夜神月を演じた藤原竜也さんとの共演も、彼女の役者魂に大きな火をつけました。すでに舞台・映画で圧倒的な演技力と存在感を誇っていた藤原さんの鬼気迫る芝居を間近で浴びた戸田さんは、後年のインタビューでも「藤原さんのエネルギーに圧倒されながらも、絶対に食らいついていかなければいけないという強い覚悟が生まれた」と回顧しています。この現場で培われた極限の集中力こそが、その後の彼女の快進撃を支える基盤となりました。