胡麻和えにおいて、使用するごまの状態は料理の香りと口当たりを決定づける極めて重要なファクターです。市販のすりごまをそのまま使うだけでも十分美味しい仕上がりになりますが、胡麻の特性を理解することで、一歩先を行く風味を手に入れることができます。
すりごまいりごま使い分けのセオリーとして、和え衣のベースには必ず「すりごま(白)」を用います。すり潰すことで硬い外皮が破れ、内部に含まれるセサミンやリノール酸などの良質な脂質と香気成分が外へ放出され、調味料と乳化してほうれん草にしっとりと絡みつくためです。
プロの現場では、すりごま単体で終わらせず、仕上げに「指先でひねり潰したいりごま(ひねりごま)」を少量散らす技法が多用されます。すりごまによる濃密なコクと舌触りに加え、粗く砕かれたいりごまの香ばしい粒感がアクセントとなり、立体的な味わいが完成します。