捜査の過程で偶然にも石神が事件に関わっている可能性に気付いた湯川学は、旧友である石神と十数年ぶりの再会を果たします。「幾何学の問題に見せかけて、実は関数の問題であるような盲点」――石神がかつて語っていた数学の命題を思い出した湯川は、友の日常の微細な変化から、論理の裏にある悲痛な真実にたどり着きます。
石神が身なりを気にし始めたこと、白髪を隠そうとしたこと、そして何より「花岡靖子を観察する視線」。それらはかつて学問の美しさだけに生きていた求道者が、初めてひとりの女性に恋をした証拠でした。湯川学と石神の頭脳戦は、知恵比べの次元を超え、「論理で守ろうとする石神」と「真実で友を救おうとする湯川」の魂のぶつかり合いへと発展します。
石神は警察の追及が迫ると、あらかじめ用意していたシナリオ通り、「自分が富樫を殺害し、靖子を脅迫・ストーキングしていた」と偽りの自供をして自首します。自らが凶悪なストーカー殺人犯として死刑または無期懲役を受け入れることで、花岡靖子を完全に容疑者の輪から切り離す――それこそが石神の最終解答でした。