大沢逸美さんの人生における最大の試練であり、現在のライフワークに直結しているのが、実母・栄子さんとの約11年間に及ぶ介護生活です。母親が脳梗塞で倒れて左半身不随となり、突然「要介護5」の重い現実が突きつけられました。
一人っ子だった大沢さんは、芸能界の仕事を続けながら介護を一手に引き受ける「ワンオペ介護」に直面します。排泄の介助や入浴補助、夜間の見守りなど、精神的にも肉体的にも限界に追い詰められる日々が続きました。一時は介護うつ寸前まで追い込まれ、「母と一緒に消えてしまいたい」と思い詰めた夜もあったと告白しています。
そうした過酷な経験を乗り越え、母を看取った後に上梓したのが著書『お母さん、死ぬまでウチで暮らそうね―介護11年の日々』です。この本には、美談だけではない在宅介護の生々しい葛藤や、制度を活用する大切さ、介護者が孤立しないための知恵が赤裸々に綴られ、同じ境遇にある多くの家族から熱い支持を集めました。
現在では全国の自治体や福祉団体からオファーが絶えず、介護講演会の人気講師として精力的に登壇しています。「介護は一人で抱え込まないこと」「頑張りすぎない勇気を持つこと」を語りかける彼女の言葉は、実体験に基づいているからこそ聴く人の心に深く響いています。