テレビ局各社が制作費の緊縮に苦しむなか、なぜ一茂氏にはこれほど高額なギャラが支払われ続けるのでしょうか。現場のチーフプロデューサー陣の証言を突き詰めると、主に4つの決定的な理由が浮かび上がってきます。
第1に、「予定調和を破壊するノー忖度の発言力」です。コンプライアンス順守が叫ばれる昨今、多くのタレントは炎上を恐れて無難な優等生コメントに終始しがちです。しかし一茂氏は、自らの主義主張に反することには「僕はそうは思わない」「それはおかしい」と生放送でも平然と口にします。この危うさとリアリティこそが、視聴者のチャンネルを留まらせる強力なフックとなっています。
第2に、「中高年・富裕層に対する圧倒的な数字(視聴率)の強さ」です。テレビの主たる視聴者層であるシニア世代にとって、「長嶋茂雄の長男」という看板は昭和・平成の記憶と直結する唯一無二のブランドです。さらに一茂氏自身がバブル経済の熱気を体現し、高級時計や旅行、別荘ライフを屈託なく語る姿は、同世代の視聴者にとって憧れと親近感が同居するエンターテインメントになっています。
第3に、「打たれ強さと愛されキャラの絶妙なバランス」が挙げられます。『ザワつく!金曜日』で高嶋ちさ子氏や石原良純氏から理不尽に責め立てられても、ムッとしつつ最後は笑いに昇華させる道化の美学を持ち合わせています。傲慢に見えかねない経歴を持ちながら、スタジオで突っ込まれ役を完璧に全うできる柔軟性は、バラエティ番組において代えが効きません。
第4に、制作現場が口を揃えるのが「プロフェッショナルとしての段取りの良さと引き際の潔さ」です。本番前の楽屋入り時間やスタッフへの配慮は極めて緻密であり、どれほど過酷なロケでも文句を言いながら結果を出す職人気質が、現場スタッフの強固な信頼を勝ち得ています。