海外のVFXシーンに多大な影響を与えた源流を探ると、日本のホラー漫画家・伊藤潤二の存在に行き着く。彼の描く作品群――『うずまき』や『肉色の怪』などに代表される無数の穴や密生する肉芽の描写は、世界中のクリエイターに衝撃を与え続けてきた。緻密な手描き線画によって紡がれる狂気の造形美は、視覚的恐怖のクラシックとして海外の映画監督やVFXディレクターの間でバイブル視されている。
日本の映像制作産業やアニメーション業界は、こうした特異なヴィジュアル・アイデンティティを長年にわたり育んできた。西洋のホラーがモンスターの直接的な暴力性を描く傾向があったのに対し、日本の表現は生理的な嫌悪や不条理な変容に重きを置いてきた。このジャパニーズ・ホラー独特の美意識と視覚的アプローチが、現代のグローバルな映像制作において重要な着想源となっていることは疑いようがない。