「自分の中では、まだ終わっていない。むしろ今が一番、体と頭が噛み合っている感覚がある」
プレッシャーや周囲の雑音を吹き飛ばすように、葛西は力強い眼差しでそう語り始めた。目指すは、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの舞台だ。実現すれば、前人未到となる通算9度目のオリンピック出場という偉業になる。50代に突入してなお、トップコンペティションの第一線で戦い続ける原動力はどこにあるのか。
最新の調整状況について聞くと、彼は笑みを浮かべながら秘密の一端を明かしてくれた。従来のハードな筋力トレーニング一辺倒から脱却し、関節の可動域と体幹の柔軟性を極限まで高める「しなやかな筋肉づくり」へと完全にシフトしたという。ウエイトの重量に頼るのではなく、空中姿勢でいかに空気抵抗を最小限に抑え、揚力を得られるか。データ解析を取り入れたフォーム改革が、ベテランの身体に新たな翼を与えている。
独占インタビューで見せたその自信は、単なる強がりではない。極寒のジャンプ台で何度も失敗を重ね、そこから這い上がってきた男だけが持つ圧倒的な説得力。50代での五輪挑戦という挑戦の真実には、長年の経験と飽くなき探究心が結晶となっていた。