天才作家・羽海野チカが描く『3月のライオン』は、白泉社「ヤングアニマル」誌上で連載され、単なる将棋漫画の枠を超えた「極上の青春ヒューマンドラマ」として君臨してきた。登場人物一人ひとりの泥臭い苦悩や、言葉にならない切実な感情をすくい取る描写力は、他の追随を許さない。
物語が最終章へと向かう中で描き出されるのは、挫折を知る者たちへのどこまでも優しい温かなまなざしだ。勝者と敗者が背中合わせに存在する過酷な勝負の世界でありながら、負けた者にもそれぞれの人生があり、光が当たる。羽海野チカがこの物語を通じて届ける結末は、傷ついたすべての現代人の心を包み込む最高の救済となるに違いない。