宅建試験は、絶対評価の試験ではありません。どれほど平均点が高くても低くても、例年上位15%〜17%台の一定枠しか通過させない「相対評価」の競争試験です。この構造を理解することが、毎年の宅建合格ラインの浮動を冷静に見極める前提条件となります。
近年の宅建合格点推移を振り返ると、2020年10月試験の38点(合格率16.8%)、2022年の36点(合格率17.0%)、2023年の36点(合格率17.2%)、2024年の37点(合格率17.4%)と、36点から38点のレンジで高止まりを続けています。かつてのように「33点〜35点を取れば安全」とされていた時代は完全に終焉を迎えました。過去10年で受験生全体の知識レベルが底上げされた主因には、講義動画の普及やスマートフォン学習アプリの浸透による基礎問題の取りこぼし激減が挙げられます。
さらに見逃せないのが、登録講習修了者に適用される宅建5点免除合格点の存在です。全50問中45問で争う免除組は、実務経験者を中心に全体の約2割から2割5分を占めており、彼らの合格率は例年20%台前半に達します。一般受験生(50問受験)の合格ラインが37点の場合、免除者のボーダーは32点(37点−5点)に設定されるのが慣例ですが、免除組の高い正答率が全体の母集団を底上げし、結果として一般受験生の足切りラインを押し上げる要因として作用しています。