ネット上の言説で頻繁に見られるのが、「どうせ顔が良ければ性格が悪くてもモテる」「イケメン芸能人ランキングの上位を見れば、結局は圧倒的な天性の顔面偏差値勝負だ」というシニカルな誤解です。しかし、ランキングの変遷を丹念に分析すると、まったく別の力学が働いていることが分かります。
各種女性誌やポータルサイトが発表する人気ランキングにおいて、平成初期に一世を風靡した「影のある孤高の美男子」や「俺様系キャラクター」は、近年確実に後退しています。代わって上位を独占しているのは、抜群のルックスを持ちながらも、バラエティ番組で見せる謙虚さ、共演者へのきめ細やかな気配り、プロフェッショナルとしての徹底したストイックさを併せ持つ俳優やアイドルたちです。
大衆が求めているのは、もはや「手の届かない冷徹な彫像」ではありません。「他者を威圧しない親しみやすさ」と「自己鍛錬に裏打ちされた品格」の両立です。SNSが普及し、タレントの舞台裏や人間性が容易に可視化されるようになった現在、人間的魅力の伴わない単なる美男子は、消費のスピードに耐えきれず急速に求心力を失っています。この現実を見落とし、「顔さえよければすべて許される」という旧態依然とした思い込みに囚われることこそ、最大の盲点といえます。