ネット上には多種多様な節電情報が溢れていますが、工学的な視点や料金制度の観点から見ると、逆効果になりかねない誤解が散見されます。代表的な3つの誤認を整理します。
第一の誤解は、「エアコンは短時間の外出でもこまめに消すべき」という説です。外気温と設定温度の差が大きい真夏や真冬においては、一度切って室温が外気温と同等まで戻った状態から再稼働させる際の消費電力が極めて大きくなります。30分〜45分程度の近所への買い物であれば、弱運転または自動運転のままつけっぱなしにしておく方が電力消費量を抑えられるケースが実験データ上も実証されています。
第二の誤解は、「風量は『微風』や『弱』にしておくのが最も省エネ」という思い込みです。「弱」運転を選択すると、部屋が目的の温度に達するまでに長時間を要し、結果的に圧縮機(コンプレッサー)が高回転で動き続ける時間が長引きます。最も電力効率が良いのは「自動」設定です。自動運転は短時間で一気に適温まで到達させ、その後は最小限の消費電力で温度を維持するように制御されているからです。
第三の誤解は、「新電力に乗り換えれば無条件で電気代が下がる」という盲信です。2016年の電力小売り全面自由化以降、多様な事業者が参入しましたが、大手電力会社の規制料金(従量電灯Bなど)に設定されている「燃料費調整額の上限」が撤廃されている独自プランも多く存在します。燃料価格が高騰した局面では、大手電力より新電力の方が割高になる逆転現象が起こり得る点に注意を払わねばなりません。