1999年、第13回メフィスト賞を受賞して刊行された『ハサミ男』は、当時のミステリ界に凄まじい激震をもたらしました。美少女を殺害し、被害者の喉にハサミを突き立てる連続殺人犯「ハサミ男」。自らの手口を完璧に模倣した先を越す殺人事件に遭遇したハサミ男が、真犯人の正体を突き止めるべく調査を開始するという、極めてスリリングで倒錯したプロットから物語は始まります。
本作が特筆される最大の理由は、緻密に計算された叙述トリックの鮮やかさにあります。読者が無意識に抱く固定観念や思い込みを極限まで利用し、張り巡らされた伏線が一気に回収されるクライマックスの快感は、まさに圧巻の一言。映画化をはじめ多メディア展開も行われましたが、「活字でしか成立し得ない究極の企み」として、現在もミステリランキングのオールタイムベスト上位に君臨し続けています。