『鬼滅の刃』における鬼たちは、悲惨な過去や人間時代の後悔、歪んだ執着を抱えているケースが大半です。しかし童磨というキャラクターは、作中でも極めて異例な「生まれつき感情が完全に欠落したサイコパス」として描かれています。
万世極楽教の教祖として崇められながら、神も仏も信じず、他者の苦しみや悲しみを理解できないまま「救済」と称して人間(特に女性)を喰らう童磨。この「親しみやすい笑顔と人当たりの良さ」を維持しながら「内面が完全な空白である」という恐ろしい二面性を表現できる演者は、極めて限られます。
宮野真守氏はこれまでにも、『DEATH NOTE』の夜神月役をはじめ、『STEINS;GATE』の岡部倫太郎役、『東京喰種トーキョーグール』の月山習役など、劇的で振れ幅の大きい難役を多数演じてきたキャリア屈指の表現力を持ちます。外見的な華やかさとコミカルなトーンで相手を油断させつつ、ふとした瞬間に絶対的な冷酷さを覗かせる宮野氏の芝居のレンジが、童磨という怪物の輪郭を完璧に際立たせているのです。