街中の広告や店頭プロモーションで見かける「有害物質が約90〜95%低減」という説明は、喫煙者に「害がほとんどない」という印象を抱かせがちです。これが世間一般でアイコス害が少ないと言われる理由の根幹となっています。しかし、この数値を正しく読み解くには、メーカーが提示する条件を精査しなければなりません。
フィリップモリス公式発表データが根拠としているのは、世界保健機関(WHO)が優先的に低減を推奨している「9種類の主要有害成分(ベンゼン、アクロレイン、ホルムアルデヒドなど)」の発生量です。たばこ葉を約800度以上で燃焼させる紙巻きタバコに対し、アイコスは約300〜350度前後で電気加熱するため、燃焼プロセスで生じる熱分解生成物が大幅に抑えられます。その測定値そのものに虚偽はありません。
問題は、「有害物質の量が9割減ったこと」と「発症リスクが9割減ること」は医学的に同義ではないという点です。毒性物質の曝露量と健康被害の発生率は単純な比例関係(線量反応関係)を描くとは限りません。微量の曝露であっても、DNA損傷や心血管系への急性負荷を引き起こす物質が存在します。アイコス9割削減の真相とは、あくまで「特定の燃焼副産物を試験管レベルで比較した数値」に過ぎず、人体への安全宣言ではないことを認識する必要があります。