あのロゴマークは、何をモチーフにしているのか。大半の人間は「音符(8分音符)」と答える。間違いではない。だが、正解の半分に過ぎない。
開発陣が初期に設定したテーマは「コンサート会場の暗闇、そしてステージから放たれる熱狂」だった。暗闇の中で激しいベース音が鳴り響き、身体が揺さぶられる感覚。それを二次元の平面上に定着させるため、グラフィックデザイン (CI/VI) の技法として採用されたのが「色収差(クロマティック・アベレーション)」である。
光の波長の違いによって生じる青(シアン)と赤(マゼンタ)のズレ。古くは印刷の版ズレや光学レンズの欠陥とみなされていた現象を、彼らはあえてデジタルのキャンバスに意図的に再現した。静止画であるにもかかわらず、網膜の上で常に振動しているかのような錯覚を引き起こす。スマートフォンの画面を指で猛烈な速度でスワイプするユーザーの親指を、わずか0.1秒で止めさせるための神経科学的な罠。それが、あの音符の真の姿だ。