ふたりの新居から漏れ聞こえてくる私生活のエピソードは、思わず頬が緩むものばかりだ。近隣のオーガニックスーパーでは、仲睦まじくカートを押すふたりの姿が目撃されている。知人によれば、冷蔵庫のホワイトボードに書かれた買い物メモすら、ふくらPの手によってクロスワード風に仕立てられている日があるという。
「彼女がそれを鼻歌交じりに解いて、嬉しそうにネギや玉ねぎをカゴに入れるんです。高山さんは彼の作るちょっと理屈っぽい仕掛けを世界で一番楽しんでいるし、彼は彼女の底抜けの明るさに救われている。これ以上ない相補関係ですよ」と親しい友人は顔をほころばせる。過密スケジュールの合間を縫い、一緒に自炊をして、録画したお笑い番組を観て笑い転げる。そこには、世間の喧騒から完全に守られた、あたたかな聖域が築かれている。