渋谷駅が迷宮化してしまった背景には、渋谷特有のすり鉢状のすり鉢地形と、複数路線が何層にも重なり合う立体多重交差構造があります。谷底に位置するJR線を中心に、最も深い地下5階に東急東横線・東京メトロ副都心線が走り、逆に地上3階の高架部に東京メトロ銀座線が位置するという、高低差約30メートル以上の極端な垂直構造が形成されています。
この激しい高低差こそが、多くの利用者を混乱させる渋谷駅のダンジョン化の根本的な理由です。平面の渋谷駅構内図だけを見て移動しようとすると、地図上では隣り合っているように見える路線同士が、実際にはエスカレーターを何基も乗り継がなければ到達できないという空間認識のズレが生じます。取材班が現地で導線を分析した結果、迷子を防ぐ唯一の鉄則は「自分が今、地下何階・地上何階にいるのか」という垂直軸の現在地把握にあることが浮き彫りになりました。