2012年2月4日深夜、東京・首都高速道路を走行中だったケンタロウの大型バイクが壁に激突。約6メートルの高さから転落するという凄惨な事故だった。頭部骨折、脳挫傷、右脚骨折。病院へ緊急搬送された彼を待っていたのは、医師から突きつけられた「一生寝たきりになるかもしれない」という無情な現実だった。
事故直後は意識も混濁し、言葉を発することもままならない状態が続いた。しかし、そこから始まったリハビリテーションはまさに想像を絶する闘いだった。動かない指先、自由の利かない四肢。かつて包丁を自在に操り、無駄のない手際で観る者を魅了した料理人が、再び自らの意志で身体を動かすための壮絶な挑戦が始まった。
その歩みを誰よりも近くで支え続けたのが、フードスタイリストの妻・大森めぐみ氏である。彼女は献身的に看病を続け、専門のリハビリ病院への転院や自宅のバリアフリー改修を主導。一切の弱音を吐かず、夫の回復の可能性を信じて寄り添い続けたパートナーの存在こそが、彼の折れかけた心をつなぎ止める最大の錨となった。