原作者の貴家悠と、作画を担当した橘賢一。二人の鬼才が生み出した鬼塚慶次というキャラクターは、過酷な物語における「情熱の象徴」だった。母親の眼の治療費を稼ぐために火星行きを決意したという悲痛なバックボーンは、彼の拳に確固たる理由と重みを与えている。
橘賢一の手によって描かれる筋肉の収縮、拳が空気を切り裂く瞬間の圧倒的な線画の密度。誌面から飛び出してくるかのような躍動感は、当時の読者を絶句させた。無口で武骨でありながら、内に秘めた仲間への情愛と覚悟。彼はただ強いだけの男ではなく、泥を舐めてでも生き抜く人間味に溢れていた。