大正15年は、わずか360日間で幕を下ろした極めて異例の年だった。1926年12月25日未明、大正天皇の崩御に伴い、同日直ちに「昭和」への改元が行われたからだ。これにより大正15年は12月25日午前1時25分をもって終わりを告げ、残る1週間に満たない日々は「昭和元年」として記録されることとなった。
この劇的な幕引きは、当時の社会に小さからぬ混乱をもたらした。新聞各社が号外を競い合い、元号発表を巡る誤報事件が起きるなど、日本中が固唾をのんで新帝即位の行方を見守っていた。この激動の狭間に誕生した人々は、生まれながらにして二つの時代をその身に宿す特別な運命を背負っていたといえる。