『I love you』の制作過程において、河村隆一が徹底的にこだわり抜いたのは「引き算の美学」だった。複雑なアレンジや難解なコード進行を極力排除し、誰の耳にもまっすぐ届く口ずさみやすい旋律を追求したのだ。タイトルの通り、ストレートすぎるほどの愛の言葉をサビに据えた背景には、聴き手の心に直接語りかける歌を作りたいという強い情熱があった。
スタジオセッションでは、自身の声をいかに最も美しく響かせるかというマイクミキシングやニュアンスの調整が幾度となく重ねられた。息づかい一つ、語頭の立ち上がり一つにまで神経を研ぎ澄ませて吹き込まれたボーカルトラック。そこに込められた熱量こそが、四半世紀以上の時を経ても色あせないリアリティを楽曲に与えている。