原作者・鳥山明が描く神々は、決まってどこか抜けていて頼りない。全知全能の厳格な支配者ではなく、重圧に怯え、想定外の事態に冷や汗を流す。シン(東の界王神)もまさにその筆頭だった。
少年漫画の作劇において、指導者や神が完璧すぎると主人公たちの能動的な冒険や成長が奪われてしまう。神が狼狽し、自らの未熟さに苦悩するからこそ、泥臭く立ち向かう孫悟空たちの決断が宇宙を救う必然性を持つ。神を絶対的な偶像から引きずり下ろし、親しみやすい欠陥と愛嬌を与える。それこそが、作品を世界的なマスターピースへと押し上げた哲学に他ならない。