工藤静香のルーツを辿ると、必ず行き着くのが母・武子さんの存在だ。かつて実家で美容院を営んでいた武子さんは、朝から晩までハサミを握り、地域の人々に愛される凄腕の美容師だった。父親が板前として腕を振るう一方、母もまた自立した職人として家計と子育てを両立させていたのだ。
多忙な毎日の中でも、幼い静香への愛情表現を惜しむことはなかった。髪のお手入れはもちろん、洋服のコーディネートや日々の立ち振る舞いに至るまで、母の持つ高い美意識は自然と幼少期の静香へと染み込んでいく。過密スケジュールに追われるアイドル時代も、精神的な支柱となっていたのは「何があっても娘の一番の味方でいる」という母の力強い言葉だった。