ロンシャンの主力コレクションであるル・プリアージュの偽物を見分ける際、鑑定のプロが最初に着目するのがディテールの精密さです。大量生産される粗悪なコピー品はもちろん、近年増加しているスーパーコピーと呼ばれる精巧な模倣品であっても、コスト削減のために細部の加工工程が省略される傾向にあります。
まず確認すべきは、フラップ部分に見られるロゴと馬の刺繍、そして型押し刻印です。正規品のジョッキー(騎手)と競走馬のレリーフは、手綱のラインや馬の筋肉の起伏、騎手の帽子の輪郭まで極めてシャープに表現されています。一方、偽物は型押しが浅くてぼやけていたり、逆に不自然に深く潰れていたりします。また、ナイロンモデルの一部に施されている刺繍モデルの場合、正規品は糸の密度が高く馬の脚元まで美しく縫い上げられていますが、偽物は糸の渡りが粗く輪郭が崩れているケースが目立ちます。
次に決定的な差が現れるのが、革の質感とシボ(凹凸模様)です。ロンシャンの正規品には厳選された上質なロシアンレザー(カウハイド)が用いられており、きめ細かく均一なダイヤモンドパターンのシボ加工としなやかな弾力性を持っています。これに対し、コピー品では安価な合成皮革や硬化処理の甘い床革が使われることが多く、手触りがカサついて硬い、あるいはビニール特有の薬品臭が漂うといった特徴が確認されます。
さらに見逃せないのが縫製とほつれの状態です。ロンシャンの製品は耐久性に優れた太番手の糸で均一なピッチ(縫い目間隔)で縫製され、角の折り返し部分も狂いなく処理されています。ステッチの歪み、糸の飛び出し、返し縫いの乱れが見られる個体は、高い確率で基準を満たしていない模倣品と判断できます。