日本のフィギュアスケートを欧米並み、あるいはそれ以上のメガビジネスへと押し上げた立役者こそ、株式会社CICを率いる真壁喜久夫である。彼が手がけた「ファンタジー・オン・アイス」は、生演奏のアーティストと世界屈指のスケーターを融合させる手法で、従来の競技ファンのみならず音楽ファンをも巻き込むモンスター興行へと成長した。
徹底した演出管理と豪華なゲスト陣。チケットは秒単位で完売し、プレミアムシートには高額な対価が支払われる。真壁氏の手腕は、単なるイベンターの領域を遥かに超えていた。しかし、規模が膨張すればするほど、舞台裏のコントロールは緻密さを極める。リンク上の1秒、照明の角度、果てはバックヤードの動線に至るまで、CICの統制は隅々まで行き届く。その統率力こそが成功の源泉であると同時に、個性の強いトップスケーターたちとの間に見えない緊張の糸を張り巡らせる要因にもなっていた。