化粧品産業における技術の進化は、スタイリングに対する生活者の意識を大きく変えた。ひと昔前なら「髪を固めること」が整髪料のゴールだった。しかし今は違う。目指すべきは、何も塗っていないかのような素髪感と、微動だにしないホールド力の共存だ。ガチガチに固まった頭皮の照かりは敬遠され、あくまで自然なツヤを残したまま面を整える繊細さが求められている。
この変化の背景には、オフィスカジュアルの浸透やオンライン会議の高画質化がある。カメラ越しに見えるトップの乱れや生え際の毛羽立ちは、想像以上に疲れた印象を与えてしまう。だからこそ、ベタつきの元凶となる重い油分を削ぎ落とし、植物由来のワックス成分や微粒子パウダーを緻密にブレンドした処方が各社から相次いで投入されているのだ。