本作最大にして最も読者の涙を誘ったギミックが、ヒロイン・赤夜萌香にかけられていた「ロザリオの封印」と「表モカ」「裏モカ」の正体です。
物語当初、ロザリオを外すことで覚醒する銀髪の「裏モカ」が本来の人格であり、普段の心優しいピンク髪の「表モカ」はロザリオの力で生み出された擬似人格とされていました。しかし物語終盤で明かされた真相は、さらに過酷な母の愛の物語でした。
表モカの正体は、幼少期の萌香に真祖の血を宿らせて生き延びさせる際、母アカーシャが自身の魂と記憶を模して作り出した「アカーシャの複製人格」でした。つまり、月音が恋に落ち、共に学園生活を過ごしてきた表モカは、萌香を守るために遺された母の面影そのものだったのです。
アルカードと共にアカーシャが消滅した際、表モカの魂も一度は消え去る運命にありました。しかし、表モカが月音や仲間たちと過ごした記憶と思いは裏モカの魂へと完全に受け継がれました。決戦後、裏モカは自ら髪を短くカットし、かつての冷徹さの中に表モカ特有の柔らかな微笑みと月音への素直な愛情を宿すようになります。「表と裏」に分かれていた二人の萌香は、悲劇を乗り越えて一つの完全な存在へと統合されたのです。