臭いの単位はどう表す?実は人間の鼻で測る「臭気指数」とPpmの真相

臭いの単位はどう表す?実は人間の鼻で測る「臭気指数」とPpmの真相

臭いの単位はどう表す?実は人間の鼻で測る「臭気指数」とPpmの真相の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。

環境省が管轄する悪臭防止法は、工場や事業場から発生するにおいを規制し、住民の生活環境を保護するための法律です。この法律における規制基準には、長年使われてきた「特定悪臭物質(22物質)の濃度規制(ppm)」と、1995年の法改正以降に導入が進んだ「臭気指数規制」の2系統が存在します。

従来型の物質濃度規制では、飲食店の調理臭、ゴミ処理施設の混合臭、香水や洗剤のにおいといった「数百種類以上の化学物質が微量に混ざり合った複合臭」を正当に評価できませんでした。個々の物質濃度は基準値以下であっても、混ざり合うことで強烈な悪臭となるケースが多発したため、現在は地方自治体の指定地域において臭気指数規制への移行が主流となっています。

臭気指数を公式に測定するために国が定めた公定法が「三点比較式臭袋法(さんてんひかくしきしゅうたいほう)」です。ハイテク分析装置が発達した現在においても、最も信頼される最終判定を下すのは「人間の鼻」です。

三点比較式臭袋法は、環境省所管の国家資格である臭気判定士の厳格な統括のもとで実施されます。具体的な測定手順は以下の通りです。

  • パネル(嗅覚判定員)の選抜:事前に5種類の基準臭液を用いた「嗅覚検査(T&Tオルファクトメーター法)」に合格した、正常な嗅覚を持つ20歳以上の健康なパネル6名を招集する。
  • 3つのバッグの提示:3リットルのポリエステル製臭袋を3本用意し、1本にのみ希釈した採取試料気体を注入、残り2本には無臭空気を詰める。
  • 嗅覚によるブラインドテスト:6名のパネルが3本の袋のにおいをそれぞれ嗅ぎ、どれににおいが入っていたかを当てる。
  • 希釈倍率の段階的引き上げ:全員が正解できなくなる希釈倍率まで段階的に薄め、統計処理を行って最終的な臭気濃度および臭気指数を算出する。

臭気判定士の現場手記や取材証言によると、パネルのコンディション管理は極めて厳正です。検査当日は香水・整髪料の使用禁止はもちろん、コーヒーや辛い食べ物の摂取制限、風邪やアレルギー症状の有無チェックが徹底されます。人間の嗅覚受容体は約400種類あり、それらが複雑なパターンでにおい分子を捉えるため、現行のいかなる人工センサーも「人間の不快感」を完全に模倣する域には達していません。法的な最終紛争解決において人間の官能試験が最強の証拠とされる理由はここにあります。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。