幼少期に聴力を失い、静寂の世界で孤独に絵筆を握り続ける新進気鋭の画家・榊晃次(豊川悦司)と、アルバイトをしながら女優を目指して劇団「翼」で稽古に励む水野紘子(常盤貴子)。公園の木に実るリンゴを取ろうとしていた紘子を晃次が手助けした偶然の出会いから、2人の運命の歯車が動き出します。
言葉が通じないもどかしさを抱えながらも、紘子は手話を必死に覚え、晃次の閉ざされた心を開いていきます。しかし、2人の純粋な想いの前には数々の試練が立ちはだかりました。
物語の人間関係を複雑にするのが、緻密に描かれた周囲のキャラクターたちです。晃次を兄のように慕いながらも女性としての独占欲を募らせる義妹の栞(矢田亜希子)、晃次の才能を認めつつ紘子へ恋心を寄せる劇団の幼馴染・矢部健一(岡田浩暉)、そして晃次の元婚約者であり過去の傷を呼び起こす島田光(麻生祐未)。彼らの複雑な感情が交錯し、物語は単なる障害者ドラマの枠を超えた、人間同士の濃厚な心理ドラマへと昇華していきました。