東京駅丸の内南口の真実2026|ドーム天井の謎と迷わない乗り換え術

東京駅丸の内南口の真実2026|ドーム天井の謎と迷わない乗り換え術

東京駅丸の内南口の真実2026|ドーム天井の謎と迷わない乗り換え術の基本情報から最新動向までをわかりやすく整理しました。

改札口に足を踏み入れた瞬間、誰もが息をのむ高さ約28メートルの丸の内南口ドーム天井。淡い黄色を基調とした八角形の天井を見上げると、そこには見事な鷲(ワシ)のレリーフや、兜(かぶと)をモチーフにした装飾が規則正しく並んでいます。しかし、建築史家や熱心な鉄道ファンの間で長年議論の的となってきたのが、コーナー部分に配された十二支レリーフの配置でした。

実際に現地で見上げると確認できますが、円周上に並んでいる干支は「丑(うし)」「寅(とら)」「辰(たつ)」「巳(み)」「未(ひつじ)」「申(さる)」「戌(いぬ)」「亥(いのしし)」の8種類しか存在しません。「子(ね・北)」「卯(う・東)」「午(うま・南)」「酉(とり・西)」の東西南北を司る4つの動物が、なぜか綺麗に抜け落ちているのです。

「なぜ、辰野金吾は四方位の干支を外したのか」――長年のミステリーに決定的な終止符が打たれたのは、復原工事完了直後の2013年のことでした。辰野が東京駅完成の翌年(1915年)に設計を手掛けた佐賀県の国指定重要文化財「武雄温泉楼門」の2階天井に、失われていた「子・卯・午・酉」の彫刻がひっそりと刻まれていた事実が確認されたのです。東西に遠く離れた2つの近代建築が、100年の時を超えて一つの完全な十二支を構成するという、設計者の壮大ないたずら心とも取れる意匠。この歴史的ロマンを知った上で見上げる天井は、単なる駅コンコースの枠を超え、ひとつの立体芸術として迫ってきます。

また、ドームの四隅で鋭い眼光を放つ八羽の鷲は、翼を広げた長さが約2.1メートルにも達します。躍動感あふれる左向きのポーズをとっており、日本古来の家紋「三巴(みつどもえ)」や豊臣秀吉の兜を模したデザインとともに、軍国主義と近代化が交錯した大正初期の空気を今に伝えています。現在見られる姿は、1945年の東京大空襲で焼失した天井を、当時のわずかな古写真と現場に残された破片、辰野の手記をもとに忠実に復原したものです。見上げる人々の表情には、過去の戦火を乗り越えて蘇った近代建築への畏敬の念が滲み出ています。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。