猫の腎臓病において最初期に現れやすい異変が「多飲多尿(水をたくさん飲み、おしっこをたくさんする)」です。猫の祖先は砂漠で暮らしていたため、本来は濃い尿を少量排泄し、水分を節約する体の構造を持っています。しかし、腎臓の機能が低下して尿を濃縮できなくなると、体内の水分が薄い尿として大量に排出されてしまいます。その結果生じる脱水を補おうと、水をがぶがぶ飲むようになるのです。
多飲多尿を客観的に見極める基準として、「1日の飲水量:体重1kgあたり50ml以上(100ml以上は明らかな異常)」、「1日の尿量:体重1kgあたり40ml以上」が目安となります。例えば4kgの猫なら、1日に200ml以上の水を飲んでいる場合は警戒水準です。トイレ掃除の際に「固まる砂の塊が以前よりひと回り大きくなった」「尿の色が薄くなり、臭いがほとんどしない」と感じたら、病気の一歩手前ではなく、すでに腎機能の低下が始まっているシグナルと捉えるべきです。
多飲多尿と並んで見逃せないのが脱水です。体内の水分が抜けていくと皮膚の弾力が失われるため、自宅で「ツルゴールテスト(皮膚つまみ試験)」を行いましょう。首の後ろの皮膚を指で軽くつまみ上げて放した際、健康な猫であれば瞬時に元の形に戻りますが、脱水状態の猫は皮膚がテント状に戻るまでに2秒以上かかります。歯茎を触ってネバネバしている、あるいは毛艶が急にバサついてきた場合も水分不足のサインです。