1950年のディズニー劇場アニメーション版『シンデレラ』で、シンデレラを救う魔法使いのイメージを決定づけたのが、あの軽快な歌声とともに唱えられる呪文でした。誰もが口ずさみたくなるビビディバビディブーの呪文の意味について、古代のラテン語や魔術の儀式に由来するのかと思われがちですが、真相は作詞家たちによる純粋な言葉遊び(ナンセンス・ワード)です。
作曲を手がけたアル・ホフマン、マック・デイヴィッド、ジェリー・リヴィングストンの3人は、杖のひと振りで起こる奇跡のスピード感とコミカルさを表現するため、意味を持たないリズミカルな音の連なりを考案しました。何の意味もない言葉だからこそ、理屈を超えて世界中の子どもたちの心に魔法の実在を信じさせる力を持ったと言えます。
また、シンデレラの物語に欠かせないかぼちゃの馬車と魔法の解ける時間のルールにも深い意味が隠されています。なぜ魔法は「午前0時」に解けなければならなかったのか。それは夜明けではなく、日付が変わる瞬間という厳格な契約の境界線を示すためです。妖精が授けたのは永遠の富ではなく、自らの足で運命を掴みに行くための「一夜限りのチャンス」でした。なお、ボロボロの服に戻ってもガラスの靴だけが消えずに残った理由は、もともとあった物を変化させたドレスや馬車とは異なり、靴だけは妖精が無から創り出して完全に譲渡した「贈り物」だったからだと解釈されています。