医療費控除の申告において、毎年多くの申告者がつまずく「4大落とし穴」が存在します。
① 会社員でも「年末調整」では手続きできない
最も多い誤解が「会社の年末調整の書類に医療費の領収書を添えて出せばよい」という思い込みです。年末調整は給与所得者特有の控除(扶養控除や生命保険料控除など)を会社が代行精算する仕組みであり、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ未利用分)、住宅ローン控除(1年目)は本人が確定申告を行う法律上の義務があります。
② 高額療養費や保険金は「差し引き」が必要
入院や大手術で病院の窓口支払いが50万円に達した場合でも、健康保険組合から「高額療養費」の支給を受けたり、民間の医療保険から「入院給付金」「手術一時金」などを受け取っていたりする場合は、その補填額を支払額から差し引かなければなりません。
例えば、50万円支払ったものの民間保険と高額療養費で計30万円が補填された場合、自己負担の実質は20万円となり、控除額は「20万円 - 10万円 = 10万円」に縮小します。
③ 「10万円の壁」の例外ルール(総所得200万円未満)
控除の足切り額は一律10万円と記憶されがちですが、年間の総所得金額等が200万円未満の人(額面年収約297万円未満の給与所得者など)は、「総所得金額等の5%」を超えた分から控除対象になります。例えば総所得が150万円のパート・アルバイトや若手単身者であれば、差し引く基準額は7万5,000円となり、10万円未満の医療費でも申告メリットが生じます。
④ 領収書は「提出不要」だが「5年間の自宅保存」が義務
税制改正以降、確定申告書に領収書の原本を添付して提出する必要はなくなりました(代わりに「医療費控除の明細書」を作成・添付)。しかし、税務署から提示・提出を求められた場合に備え、領収書は確定申告期限から5年間、自宅で保管する法定義務があります。紛失や破棄をしてしまうと、後日税務調査等で否認され、還付金の返還や追徴課税を求められるリスクがあります。