「なぜ、1歳児のクリスマス製作では特定の手法にこれほど夢中になるのか」――この問いに対する答えは、発達心理学における「感覚運動期から前操作期への移行プロセス」にあります。1歳児にとって、ものを作る行為は完成図を想定した計画的作業ではありません。「押したら色がついた」「貼ったら離れなくなった」「握ったらクシャッと音がした」という、自分の身体動作が環境に変化をもたらす因果関係の発見(自己効力感の萌芽)そのものが最大の快感なのです。
保育研究所の臨床データや現場取材によると、1歳前半(1歳0か月〜1歳5か月頃)は手のひら全体で物を握る「全握把(ぜんあくは)」が主体であり、手のひらへの直接的な絵の具の冷たさや、タンポを叩きつけたときの弾力に強い情動反応を示します。一方、1歳後半(1歳6か月〜1歳11か月頃)になると、親指と人差し指で物をつまむ「指先把握」が可能となり、丸シールの端を器用にめくったり、ちぎった紙を狙った場所に落としたりする微細運動への没頭が見られます。
つまり、子どもが飽きてぐずったり席を立ったりする最大の要因は、子どもの集中力不足ではなく、「子どもの現在の指先・感覚機能と、用意された工程の難易度にミスマッチが起きていること」にほかなりません。子どもの「さわりたい」「試したい」という原初的な衝動を受け止める素材設計こそが、子どもを熱中させる本質的な鍵となります。