ネット上の口コミ掲示板や大人の歯科矯正ブログ体験談を丹念に読み解くと、パンフレットの美辞麗句とは異なる、シニア患者たちの赤裸々な苦悩と後悔のパターンが浮き彫りになります。
50代後半からワイヤー矯正を開始したある女性ブロガーの手記には、次のような切実な告白が綴られています。
「器具をつけて数か月後、毎日の歯磨きに40分以上かかるようになりました。少しでも磨き残しがあると歯茎が腫れ上がり、痛みで夜も眠れない。定年退職後の穏やかな暮らしを思い描いていたのに、生活のすべてが『装置の洗浄と歯磨き』に支配されてしまい、精神的に追い詰められました」
また、昨今利用者が急増している高齢者のマウスピース矯正に関しても、シニアならではの落とし穴が指摘されています。マウスピース矯正は「目立たない」「取り外せる」という利点がある反面、1日20〜22時間以上の厳格な装着時間を患者本人が自己管理しなければなりません。ブログやSNSでは以下のような失敗談が目立ちます。
- 「外出先で外したマウスピースを紛失・破損してしまい、再作製で余計な費用と期間がかかった」
- 「手指の関節痛(リウマチや変形性関節症)があり、きついアライナーの着脱が毎日の苦痛になった」
- 「唾液の分泌量が減っているため、マウスピース内に細菌が繁殖しやすく、重度の口臭や虫歯を招いた」
老後の歯列矯正後悔を口にする人々の共通点は、「若い世代と同じ感覚で治療をスタートしてしまった」という情報ギャップにあります。シニアの矯正生活には、若年層以上の自己規律と身体的負担が伴うという実態を直視しなければなりません。