ネット上の掲示板やSNSでは、時折「教習所にお金を払うのは無駄」「運転免許試験場の一発試験なら3万円以内で取れる」という威勢のいい書き込みが散見されます。しかし、この言説を真に受けて飛び込むのは極めてハイリスクなギャンブルと言わざるを得ません。
警察庁が公表している運転免許統計の傾向を精査すると、指定自動車教習所を卒業した受験者の実技試験免除による合格率が99%を超えているのに対し、運転免許試験場での直接実技受験(一発試験)の合格率は全国平均でおよそ10%〜15%前後という厳しい現実に直面します。
一発試験における主な落とし穴は以下の3点に集約されます。
第一に、「減点細則の厳格さ」です。試験官を務める警察官の採点は極めてシビアであり、安全確認の首振りの角度、合図を出すタイミング(進路変更の3秒前・交差点の30m手前)、踏切での一時停止位置、乗降時の安全確認など、日常の運転感覚では気づかない細部で次々と減点され、完走すらできずに途中で試験中止を告げられる受験生が後を絶ちません。
第二に、「公認コースでの事前練習費用」です。ぶっつけ本番で合格することは至難の業であるため、多くの受験者は民間の届出自動車教習所や試験場開放コースを時間借りして練習します。このコース使用料や指導料が1時間あたり8,000円〜1万5,000円程度かかり、3〜4回練習するだけで数万円の出費となります。
第三に、「取得時講習の別途受講義務」です。一発試験に仮に合格しても、それだけでは免許は交付されません。後日、指定教習所等で「二輪車取得時講習」および「応急救護処置講習」を受講する必要があり、これに約17,000円前後の受講料が発生します。
不合格を重ねるごとに受験料(1回あたり4,050円=受験料+試験車使用料)が加算され、平日に何度も警察署や試験場へ通うための交通費と有給休暇を消費することを考慮すれば、結果的に指定教習所に通うのと同等以上の出費と精神的ストレスを背負い込む構造が浮き彫りになります。